#286 健全な組織は生き続ける
健全な組織は生き続ける。
伝統があり、資産も多く、規模も大きい立派な組織は、簡易に消滅するものではない。
なぜなら、組織体質が健全であり、組織気質が正常であれば、内部の自浄作用と修復機能が必ず働くためである。
組織には機能体と共同体がある。
共同体とは、構成員の幸せを追求するための組織であり、機能体とは、1つの目的を達成するための組織である。
軍隊とか官庁、企業といった機能体が構成員の共同化すると危機が常に迫ることになる。
組織は自らの拡大を求め、内部の結束強化を追求する本能的な欲求がある。
つまり
組織は、組織の作られた目的とは別に組織自体の目的を持つ。
それは、構成員の組織人としての幸せを追求することになり易い。
これが強まり慣習化すれば、構成員の間に共同体意識が出来上がり、専ら構成員の幸せを求める「構成員共同体」になってしまう。
軍隊でいえば「軍人共同体」、会社でいえば「社員共同体」、官公庁でいえば「役人天国」。
この現象の恐ろしいことは、一旦共同体化が始まれば、それを肯定する人事と資源配分がまずます強化され、やがて正義を以って語られるようになってしまう。
共同体化した組織において、高い地位と大きな権力を持つことだけを願う小心な野心家は、構成員の推挙を得ようとして、構成員の幸せ追求、つまり共同体化を一段と徹底するようになる。
これには、構成員の「結束を固くするため」「士気を向上させるため」という大義名分も付加されてしまうのだ。
「社員のため」「軍人のため」というのは、自己の野心を隠すキャッチフレーズにもなり得る。
ここでいう「構成員の幸せ追求」というのは、生活者としての幸せではなく、組織人としての幸せ、つまり、組織内での公平性と安住感の充実、権限の拡大および外部に対する格好良さの追求である。
共同体化した組織の構成員は、比較的安い給与で長時間働き、世間の同情と清潔な印象を得ようとする。
実は、、、
これほど利己主義な行動はないのである。
自分の出世のために組織本来の目的を無視して、構成員の評価を得ようとするのは、最も悪質な出世主義に他ならないのである。
そうなると、組織本来の機能は無視され、構成員の幸せのみを追求するようになるため、急速に機能は低下してしまう。
しかも、機能低下を促進する人物がさらに評価されるため、一段とそれが進むという悪循環が起こってしまう。
つまり
自浄作用が働かないのみならず、悪化が悪化を促進する形になってしまうのだ。
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