#281 織田信長は強い機能組織を作った偉大な人物である③

⑥機能別組織を確立したこと

 

組織者としての織田信長の最大の功績は、機能別組織を確立したことである。

 

当初は仕事が発生するたびに、適任者を任命するという形だったが、徐々にこれが機能化され、分業化されたのである。

 

 

〜信長の行った機能別組織の重要な例〜

 

1.軍隊組織の中に黒鍬者と呼ばれる工兵隊や荷駄者という輜重兵を設けたこと

 

以前の大名の軍隊は各村落ごとに編成され、その村の地主である豪族が指揮していたため、専門の工兵や輜重隊はいなかった。

 

各部隊が兵糧を担って参戦、陣地も砦も自分たちで造っていたのである。

 

そのため、刀槍などの武器の他、薪柴代採用のナタやオノ、陣地構築用の金助鍬なども持ちはこばねばならず、携帯できる食料は1人20キロも超えなかったのである。

 

敵地において兵糧調達ができなければ、これだけの兵糧を食い尽くすと撤退しなければならなくなる。

 

これを信長は、専門の工兵と輜重兵を設けることで、戦闘部隊の長期滞陣を可能にしたのである。

 

 

2.軍制と軍令の分離による方面軍制度の確立

 

軍制は信長が握り、一益や秀吉には軍令だけを行わせた。

 

軍制と軍令の分離は、古代においても一部に見られたが、中世になると完全に消滅したのである。

 

 

3.全国統治における中枢管理機能と地方行政軍事機能の分離

 

徐々に、人材を自分の側近として仕える中枢管理職と、地方に大きな領地を持って行政軍事に当たる実践職に分けていった。