#310 戦闘において敵を欺くことは賞賛される
人間生活一般において人を欺す行為は、極めて憎むべきことである。
しかし、戦時では別である。
戦闘状態の中では、策略を巡らせて敵を欺き、それによって勝利を得るのは、正面切ってぶつかっていって勝利を収めるのと同じくらいに、賞賛されて良いことである、
しかし、
欺くことは良いことだとしても、それは、信頼を裏切ることでも結ばれた条約を破ることは一事である。
なぜなら
この種の行為は、たとえそれによって国土は征服できても、名誉までは征服できないからである。
戦時下では、もともと信頼関係にない相手に対しての欺きであるため、賞賛されるべきである。
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#309 金で雇った人は、役立たない
金銭で雇うことによって成り立つ傭兵制度は役立たないものである。
なぜなら、この種の兵士たちは掌握できる基盤が、支払われる金以外にないからである。
彼らの忠誠を期待することはできない。
彼らが雇い主のために死までいとわないほど働くと期待する方が甘いのである。
指揮官に心酔し、その下で敵に勇敢に立ち向かうほどの戦闘精神は、自前の兵士にしか期待できない。
いかなる政体を持つ国家であろうとも、国家を維持していこうと望む者は、自国民を武装させ、自国民による軍隊を持たねばならない。
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#308 戦略論
〜戦略論〜
1.自軍の力と敵の力を、ともに冷静に把握している指揮官ならば、負けることはまずない。
2.配下の将兵についてならば、彼らの数よりも、彼らの戦意の方が価値がある。そしてしばしば、戦意よりも地勢に恵まれることの方が、戦勝に繋がりやすい。
3.新しいことに直面すると、将兵たちは度を失う。
かといって、慣れ親しんだやり方だと、彼らは刺激を受けない。
将兵たちに新戦略を飲み込ませるには、小競り合いのような機会を与えてやり、少しだけ慣れさせると良い。
4.敵のあまりにも不甲斐ない落ち度のおかげで勝利を得た軍は、たちまち勝ちにおごり、次回は敗戦を喫する危険がある。
5.兵糧の手配が不充分な軍隊は、敵と武器を交える前に、すでに負けている。
6.騎兵に重点を置くか歩兵を中心とするかは、ひとえに戦闘現場の地勢によって決められねばならない。
7.敵がこちらの意図に気づいたと思った途端に、こちらの作戦も変えなければならない。
8.将軍たちの進言には、常に耳を傾けなければならない。
しかし、決意したことは、可能な限り少数の者にか打ち明けてはならない。
9.将兵は、陣営にあるときは軍規を守らせ、守らない者は厳罰に処すべきだが、一旦現場にでたら、希望と褒賞で鼓舞するだけで充分。
10.優秀な指揮官とは、必要に迫られるか、それとも好機に恵まれるかしなければ、決して勝ちを急がないものである。
11.攻撃の重点は、まず、敵軍の最も弱い部分を叩くことから始められるべきである。
精鋭部隊といえども、敵の最強部隊にぶつけるような愚行は、絶対に犯してはならない。なぜなら、味方が崩れたと見れば、最強部隊であっても、幾分かは怯むものだから。
12.戦闘が始まってしまったら、決めた作戦通りに事を運ぶ方が安全である。
戦闘中にしばしば命令が変わるようでは、配下の兵たちを混乱させるだけである。
13.予測しなかった事故は、立ち直るのに非常な困難を伴う
あらかじめ考えに入れておけば、たとえ不意に襲われたとしても、容易に立ち直れるものである。
14.人間と武器と金とパンは、戦争の「神経」である。
この4つのうちでより重要なのは、人間と武器である。なぜなら、人間と武器があれば金とパンを得ることは可能だが、金とパンでは、人間と武器を得ることは不可能だからである。
15.武装していない金持ちは、貧しい兵士への褒賞である
16.配下の将兵が、洗練された生活や豪勢な持ち物を軽蔑するよう、仕向けなければならない。
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#307 側近に誰を選ぶかは非常に重要である
君主が思慮深いかどうかで、優れた人材が登用されることになったり、無能な側近に囲まれることになったりする。
従って
側近にどのような人を選ぶかは、君主としての能力を計る格好な材料となるのである。
側近に誰を選ぶのかは、君主にとって軽々しく考えて良いことではない。
側近が有能であり誠実である場合、それを選んだ君主は賢明といえる。
なぜなら
人間というものを熟知しており、その人間の能力を活用することを知っているからである。
人の上に立つ者が側近の人選について、よほど思慮深くなけれな非常な困難の末にしか逃れないこととなる。
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#306 人の上に立つ者が尊敬を得る方法
人の上に立つ者が尊敬を得る方法は何か?
①大事業を行い、前任者とは違う器であることを示す
なぜなら
大事業を行えば、人々は呆気にとられて感嘆してしまい、他のことに心を使う暇も気も失ってしまうからである。
②敵に対する態度とかと味方に対する態度をはっきりと分けて示す
なぜなら
勝ち組に参加しようが負け組に与しようが、人はあやふやな態度で終始した者に対しては、容赦無く敵対してくるからである。
指導者が心しておかなければならないことは
よほどの切通した情況にでもならない限り、自分より強力な者と組んで、第三者に対して攻撃を仕掛けてはならないということである。
なぜなら
たとえそれによって勝利を収めたとしても、自分より強力なパートナーの捕らわれ人になってしまうからである。
君主たる者、他者に左右されるような状態からは、できる限り自由でいる必要がある。
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#305 かつては敵であった者の方が役に立つ
人の恨みは悪行からだけででなく、しばしば結果として悪を生み、それによって恨みを買うことが少ない。
このような場合の善行は、善意によってそれを為したものの、仇になってしか返ってこないものである。
君主は、地位獲得当初は敵に見えた者の方が、もともと味方であった者よりも役に立つことが多いことを知っておく必要がある。
なぜなら
敵と見られていた人々は、その評判を消したいという想いから君主のために精を出すようになるからである。
反対に
もともと味方と思われていた者は、そうまでする必要を感じないのが普通である。
役に立つということであれば、
もとからの味方より、かつては敵であった者の方が有益であるという場合が少なくない。
このようなことはアニメでも見られる。
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#304 恩恵を与えても、過去の怨念は消えない
裏切りや残酷の限りを尽くした後でもなお、外敵からも国内からも地位を守り抜いた場合
この種の悪行が巧みに使われたが、それとも下手に使われたかを見極めることがまず必要である。
巧みな使い方とは、自分の立場を守る必要上、一度は使っても、以後はそれをきっぱりとやめ、国民の役に立つ方向に向けることをいう。
反対に下手な使い方とは、初めのうちは残酷さを小出しにしながら、時が経つにつれてやめるどころか、段々と残酷の度を増していくやり方である。
前者は成功し、後者は破滅をする。
要するに
悪しき行為は一気にやってしまわねばならない。
そうすれば、それを人々が味わわねばならない期間も短くなり、それによって生ずる憎悪も少なくて済むからである。
恩恵は、人々に長くそれを味わわせるためにも、小出しに施すべきである。
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