#085 支配に慣れたら解放されても自由になれない

檻の中で飼いならされた猛獣は、急に野原に放たれても、餌を漁ることも、身を守ることもできない。

 

人間のこれと同じである。

 

他人に支配されることに慣れてきた人民は、自由の身になったとしても、攻めることも守ることもできず、その自由を維持することはできない。

 

さらにもう一度支配されたいと思うようになる。

 

もともと自由な国家の人民は、法律に基づく資格さえあれば、誰でも栄誉や特権を国から与えられ、誰からも不条理に取り上げられることはない。

 

従って

 

新たに自由を得た国の人民は、それを当然のこととし、指導者に対して感謝もしなければ恐怖も感じない。

 

積極的に新政治を支持する熱意にも欠ける。

 

自由を獲得した国の指導者がまず当面するのは、団結した積極機敏な敵であり、指導者を支持するべき人たちには団結がないため、困難に遭遇する。

 

この困難を打開するには

 

「人民に自由が与えられては自分たちに不利である」と考えるような者を抹殺することである。

 

国の指導者は、一部の人民に憎まれても、多くの人民の指示さえ得ていれば不安はないことを信じて、勇気を持ってその責務を果たさねばならない。

 

長時間分離していた国家が統一することは、国民にとって最高の利益である。

 

しかし、なかなか実現しないのは

 

分離していることにより、利益を得ている人間が増えるからである。

 

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