#289 共同体化の尺度 ②情報の内部秘匿について

機能組織の共同体化の恐ろしさは、組織内部では発見し難いところもある。

 

なぜなら

 

倫理が頽廃すれば本来の目的欲求が放棄されてしまうため、構成員の評価尺度も狂ってしまうからである。

 

しかし、それを外形的に捉える尺度が3つある。

 

今回はその中の1つ、「情報の内部秘匿」について話す。

 

 

 

②情報の内部秘匿

 

組織の共同体化を示す第二の尺度は、組織の内部を外に見せまいとする情報の内部秘匿である。

 

特に不祥事や内紛などは、外に見せると構成員全体が批判と軽蔑を受ける恐れがあるので、絶対に秘密にして内部で処理しようとする。

 

最初のうちは、日本軍上層部も、損害を隠し戦果を増大して発表していることを意識していたが、太平洋戦争の後半になると、各方面軍や艦隊が情報を秘匿、部分組織や仲間への温情から戦果を過大に信じ込むようになってしまう。

 

企業でも、ある支店や事業部が利益の上がっていないことを隠して、組織の存続のために様々な粉飾を凝らす例も少なくない。

 

不祥事を支店や部局が共同で隠し、そのためにますます損失を拡大した話もある。

 

土地買収の失敗や為替投機への損失を担当部局が隠したため、会社全体の損失が分からなかったという例もある。

 

中学、高校の校内暴力事件は、ほとんど報告されないもの。

 

いじめで自殺者や死亡者が出ても、校長や教師は「知らなかった」と言う。

 

教育共同体を守ろうとする教育官僚と教育集団の情報秘匿は働くのである。